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彼と彼女のパラフィリア◆06「彼の日曜日」

俺としたことが、自分の体力の限界に気が付かずに、つい感情に任せて行動してしまった。響に対して怒ったというより、たまりに溜まったストレスが重なって、頭にきてしまったのだ。
朝日が差し込んだら眩しさで自然に目が覚めるように、窓際に置いたベッドは今日も明るく光を差し込んでいた。目が覚めた俺の左腕は響の枕と化していて、ぐっすりと寝入っている響を起こしてしまいそうで動くに動けないでいた。
俺のTシャツ一枚で寝ている響の寝相は、あまりいいものではなかったが、そんなゆるさも可愛くセクシーに見えた。はしたない格好だと思うが、俺の前だけに見せている姿なら、許してしまう男の下心は少なからず俺にもある。
しっかりしてそうで抜けていたり油断してしまう響の性格は、俺の理想とする女性だと日々感じている。普段は凛とした顔つきで日常を過ごす響が、俺とのやりとりでは甘えてきたり、ときにはかまってほしくて、叱ってほしそうな顔を見せるのは、やみつきになる魅力だと思う。

大きめのTシャツの裾から覗く太もも、下着に包まれたお尻は少し赤みが残っているのが見える。優しく撫でてみると、響はうーんと子猫のような声を出した。
響の額に軽くキスをして声をかけた。

「響?枕、一旦休憩させて」
「……ぅん」

もにょもにょと何か言いながら、響は寝返りを打って枕係を解放してくれた。
そっと響の頭を軽く撫でると、起こしても起きなさそうな響を置いて俺はひとりでベッドから起き上がった。
毎朝の習慣はやめられないのか、起きたらコーヒーが飲みたくなるので、キッチンでコーヒーメーカーのセットをする。砂糖と牛乳をたっぷり入れたコーヒーじゃないと、苦くて飲めたもんじゃないので、苦くなく渋くなくコクの深い豆を珈琲屋でブレンドしてもらっている。ダンディな大人の男はブラックだろ。と自分の舌も年齢とともに成長して、ブラックがいけるようになってるのではないかと何度か試してみたが、まだまだ俺の舌はお子様だ。だが、ビールは最近おいしく思えるようになったから、きっとそのうちブラック党になれると信じ続けていこうと、自分では思っている。
マグカップに並々と注がれたミルクコーヒーを片手に、パソコンの前に座る。これも毎朝の習慣だ。
同じベッドで一晩を過ごしたのだから、普段は気にするスマホに入る彼女からの連絡は気にすることもなく、パソコンから朝のメールチェックだけ済ませておけば、今日は夜までなんの用事もなく恋人と過ごせるのだ。
パソコンのモニターを眺めつつも、ワーキングチェアに座ったまま両手を上にあげて軽く伸びをした。
久しぶりにぐっすり眠れて、頭はいつもよりすっきりしているのに、まっすぐに差込む朝の光はまぶしく、気持ちいい朝のはずが心は晴れとはいかなかった。

昨日の夜の自分の行動に納得がいかない。
理想的な俺の行動ではないのは確かだ。
こう言うと響が可哀相、いや響のお尻が可哀相だが、昨日の夕方からやり直したい気分だ。
仕事でも学業でもプライベートでも自分が携わるなら、きっちり納得のいく方法で結果を出したいと常日頃思っている。もちろん自分ひとりの力だけで、すべてを見て回って作業して確認してくなんて、どんな才能を持ってしても難しいと思う。だから信用できるプログラム、人間、会社、自分が見定めたモノを信用して、先を読んで進めていくのが方法で日々をこなしている。
今まで学業や仕事はやればやるだけ返ってくる感触があった。だからそれだけ努力して積み上げていったり、たまには自分の経験を活かし賭けにでるときもあった。もちろんその賭けには少なからず負けという結果にはならなかった。日々の経験というものは自分の肥やしになると身にしみている。
ただ、恋愛だけは違った。
俺が頑張るだけで、相手の気持ちが揺れることもあるが、同じことを続けていたとしても、相手の気持ちを繋ぎ止めることが出来なかったりする。その理不尽さに呆れることも多いが、俺も普通の男としての欲はある。自分で言うのもなんだが、ルックスも良く学生起業家の自分がモテないわけがない。見かけのいい女を隣にはべらせているだけでいい、俺が尻を叩くと言ったら理由も聞かずプレイとして尻を差し出す女を調達するのもたやすいことだ。だが自分の欲が、そんな女たちでは満たされないのは気付いていた。

猫のように気まぐれで、犬のように慕ってくる響は、俺には読めないところがあり、彼女を叱るのはやり甲斐があって毎日が楽しく過ごせている。
ちょっと突飛で無理やり突き通そうとする、まっすぐな性格が仇となって、俺が行動に目を光らせているとすぐにお仕置きされてしまう抜けたところも可愛い。
スパンキングから出会った俺たちは、響もたまに叱られることで構ってもらえてると感じているし、俺も響を見守ることでお互いの承認欲求を満たせている。いわゆるwin-winの関係にあるのだ。

まずは整理しよう。
俺の逆鱗に触れたのは、響の少しのわがままがいくつか積み重なったことにあり、ひとつひとつ注意していけばよかったのか。そうは言っても、彼女も立派な大人だし、少し言えば理解するのは容易だと思う。そこをお仕置きをする理由として、置いておいた俺にも非がある。
ましてや昨日は土曜日。響との約束で毎週お仕置きすることはすでに決まっていたわけだ。

「やっぱり俺も悪いよな…」

自分の欲望に底がないことを身にしみて感じてしまう。それを自分で理解して制御できるのが大人だと思う。まだまだ俺はガキだってことだな。

「…ん?」

デスクで充電してあるスマホのランプが光っているのが見えた。
手にとって確認してみると、そこには『和真』という名前が目に入った。
このタイミングでは見たくなかった名前だった。余計なストレスを増やすのはごめんだと、メールの詳細を開かずに通知を切って響が寝ているベッドに戻った。

「…甲斐くぅん」

ベッドに戻ると、寝ているのか起きているのか判断のつかない響が俺の名前を呼んでいた。

「起きたのか?」
「甲斐くん二度寝しよ〜!」

ベッドに腰掛けた俺に、響は全力で抱きついてきた。寝ぼけている人間はなんでこんなに重いんだろう。などと考える暇もなく響のほうへ倒れ込んでしまう。

「ちょっとだけだよ。昼の予定あんだろ」
「やった!甲斐くん好き!おやすみ!」

馬鹿なのかマイペースなのか空気読まないのか、響はそのまま俺の太ももを枕にして寝てしまった。苦笑いしながら、俺も響の隣で横になった。


──


「甲斐くーん!起きて!」

響の遠くから聞こえる大声で目が覚めた。
時計を見ると一時をさしていた。
どれだけ寝るんだよ俺は、成長期かよ。今そんなに寝ても身長なんて伸びないだろ。あ、でもこないだ読んだ記事では、男性は25歳まで身長が伸びると書いてあったけど、俺にも希望はあるのか。
と、寝起きの頭はどうでもいいことを語っていた。

パタパタと足音がすると、響が寝室に入ってきた。ぐっすり寝たからか、化粧をしていたからか、響の表情は明るかった。

「もう甲斐くんったら、お寝坊さん」
「響が二度寝しようって誘ったんだろ」
「えっ?そうだっけ」
「まあいいや。映画の予定何時だっけ?」
「3時過ぎだよ」
「じゃあまだ間に合うな、響おいで」

俺はベッドから起き上がり、腰を掛けた状態でベッドを軽く叩く。

「えっ…準備あるし…また今度に…」

俺の発言に響は驚きを隠せずにいた。明るかった表情は、一気に困惑に変わっていく。

「約束は約束だろ。とは言っても俺も、昨日は途中で寝ちゃって申し訳ない。ちゃんとお仕置きするって約束だったのに、約束守れなくて」
「昨日の痛かったし今もまだ痛いよ?」

響はお尻をさすりながら口を尖らせて言う。
そんな当たり前のこと言っても、俺はまた今度にするなんて、昨日の無様な寝落ちのような選択を取るはずがない。

「知ってる痛くしたから」
「だから今度にしようよ」
「映画の約束は果たしたいから、早く終わらせるよ。ごねても数が増えるだけだろ?」

響が行きたがっていた映画のためなのか、ゆっくりとベッドに乗って四つん這いの姿勢になった。
まだ寝間着にしていたTシャツ一枚のままだったので、四つん這になると下着がすぐに見えるようになる。俺がその場ですぐにおろせば簡単にお尻を出すことができるが、約束は違ったので下着ごしに軽くお尻を叩いて促す。

「響、自分で下着おろして。約束だろ」
「う…はい」

響はしぶしぶ下着をおろすと、彼女のお尻には昨日のお仕置きのあとがはっきりと残っているのがわかる。このうえにお尻を叩かれると、さぞや痛いだろうなと同情しつつも、俺は心を鬼にして進めていく。

「昨日確認するの忘れてたんだけど、土曜日のお仕置きの根本的な理由は?」
「私がキャバクラで働いてたこと黙ってたから」
「そうだよな。嘘や隠し事しないって約束を破ったらどうなるんだっけ?」
「お尻を叩かれます」

響は恥ずかしそうな声で答えた。こうやって毎回ちゃんと確認して、俺との関係を理解してもらうつもりだ。

「それで日曜は何するの?」
「お尻痛いままデートしてご飯食べて、同伴出勤する…」
「俺が独占欲あるのわからないみたいだよね。だからお尻痛くされると」
「わかってるよ。もうお尻痛いと、甲斐くんのことしか考えられなくなってるもん」

四つん這いのまま響は足をバタバタさせたので、俺は軽く2回、動くなと指示するかのようにお尻を叩いた。

「ほらお尻痛くないとダメじゃん」
「そんなこと…」
「時間ねーから、さっさと終わらせるよ。足、もっと開いて。崩れたり数え間違えたら、いつもと同じく10回追加ね」

俺は響の太ももを持って片足ずつ、無理やり肩幅に開けさせた。

「…何回叩くの?」

不安そうな表情で振り向いてこちらを見つめる響。
そんな表情を見せたらもっといじめたくなるじゃん。と考えながらも昨日の二の舞いにならないよう、理性を保つように心がけた。

「昨日の回数忘れたの?なら100だな」
「違うもん。確認だよ。昨日は50回だったから」
「覚えてたのか、あんなに泣いてたし酔ってたから忘れてたのかと思った。あと残り50な」

四つん這いになった響のお尻に少しかかったTシャツを上にまくり、お仕置きの準備は万全だ。

「昨日のが痛いから加減してほしい」
「お仕置きで許してやるって言ってるのに、なんで手加減しなきゃいけないわけ?俺との約束を守れない彼女とは、付き合えないし別れてもいいよ」
「そういう意味じゃなくって」

響の声が涙まじりなになっている。
お仕置きを減らしても、響はきっと今とかわらないくらい俺を悩ませるに違いない。そうしたら俺の余裕がなくなるよ。お仕置きできるから、その性格に付き合ってると言えば響が傷つくだろうか。

「お仕置き手加減してとかワガママ言うなら道具使おうか、定規だったらあるけど」
「道具やだ!」
「なら厳しくするよ」
「…はい」

響の腰を左手で抑えると、右手をゆっくりとあげ、しなるように叩き込むように、彼女のお尻に平手を落とした。

「…っん!」

バッシーンと大きな音とともに、響の口からは言葉にならない吐息がもれた。

「数は」

すぐに数を数える約束だが、昨日のお仕置きの痛みが残るのか、響は足を少し動かして頭はうなだれるように下を向けていた。

「ごめんなさい甲斐くん、痛くて」

響の弱音を聞き入れるわけにはいかないので、バシンバシンと、さっきより軽めに響のお尻を等間隔で叩きながら言う。

「痛くしてるんだから当たり前だろ。映画終わるまでお仕置きしようか?」
「あーん、やだ。デートしたい」

響は必死に首を横に振り、いやいやと意思表示を見せる。
俺は叩いている手を止めて、響の顔が見えるように動いて目が合うように、彼女の顎を下から軽くすくいあげるようにして顔をあげさせた。

「俺も響とデートしたいよ。今の10回追加で、60回叩くから頑張って」
「ぅう……」
「早くしないと化粧くずれたまま、俺とデートすることになるけど?」
「…我慢するから、お仕置き…して」

潤んだ瞳でお仕置きを懇願する響の姿は、言葉で言い表せないほど魅力的に見えた。
俺はフフッと少し鼻で笑うと、お仕置きが再開できるように体勢を整えた。

「ちゃんと数えろよ。あとお仕置きのときの言葉遣いは"してください"だからな」
「はい」
「じゃあはじめるよ」

響の腰を左手で抑えて、右手を大きく振り上げて一打ずつ平手を打ち込んでいく。寝室には涙声でカウントする響の声と、しっかりと打たれている彼女のお尻と俺の平手が、バッシーンバッシーンとゆっくりした間隔で、ぶつかりはじけるような乾いた音だけが響き渡っている。

20をこえたあたりで響のカウントは、ところどころ抜けて声が震えて泣いてる間に数えるようになってきた。
相当堪えてるのだろう。
昨日叩いた痕になっているところは避けて叩いているつもりだが、かなり痛いらしく響はお尻を左右に振ってしまっている。

「響、そんなに動くなら膝の上にするか?」
「ううう…うん膝の上がいい」

少し響は悩んだようだが、やはり相当堪えているのか、両手をついた状態では涙を拭えないまま、泣きっぱなしの顔は真っ赤になっていた。
響を四つん這いから起き上がらせ、そのままベッドに腰掛けた俺の膝に腹ばいにさせた。
子どもをお仕置きするときのようなこの姿勢を、響に対して使うことは嫌いではない。むしろ年上の彼女を膝の上でお尻ぺんぺんのお仕置きをしている、というシチュエーションだけで、心が満たされるというものだ。

「膝の上だとさっきみたいに痛くできないから回数増やすぞ」
「うん、ごめんなさい」
「数はかぞえなくていいから、膝の上で泣いとけ」

もうすでに薄ら赤く染まっている響のお尻は、小刻みに震えていて俺からのお仕置きを待っているようでとても可愛かった。
あと30回だったが、膝の上に乗せては腕は振り上げられても、足は踏み込めないのでそこまで威力のある叩き方はできない。
仕方ない、百叩きくらいで終わらせよう。

さっきより早いペースで、バシンバシンと響のお尻を叩き始める。
膝の上だからそんなに強くは叩けないが、もうすでに昨日から何度も叩かれているお尻には痛むようで、相変わらず俺の膝の上でも逃げるようにお尻を左右に揺らしていた。

「動かないっ」

バッシン!と強めに叩く。

「っごめんなさい」

左手では響の腰を強く抑えて、右手は響のお尻を全体的にまんべんなく赤く染める作業に集中している。

「っ…ぅんん…甲斐くん…ごめんねっ…」

叩かれながらなので、響の言葉は途切れ途切れになっている。

「何がごめんなの?」
「隠しっ…ごとしたり…嘘つい…たり」
「悲しよ、本当に」
「…ごめんなさい」

そろそろ膝に乗せてから50回こえたあたりだろうか、自分の右手と響のお尻がぶつかり合うバシンバシンという音と、響のごめんなさいと謝る声だけが聞こえていた。
後半は早く終わらせたいので無言で響のお尻を叩き続けていた。

「…甲斐く…あぅん…ごめん…なさい」

気づくと100回こえていたかもしれない、響のお尻はきれいに真っ赤に染まり、かなりの熱を持っていた。

「響、終わりだよ」
「……ごめんなさい」

泣いて声がかすれていたが、顔はもっと泣いて腫れてるかもしれない。ゆっくりと響を抱き起こして膝の上に座らせると、お仕置きが辛かったとわかるような、髪はくずれ、顔に長い後ろの毛がかかっていたのでそっと後ろに戻し、顔がよく見えるように覗き込んだ。

「泣きすぎ」
「だって…痛かったもん」

響は真っ赤な顔をしながらふくれっ面を見せる。

「…可愛い」

俺は我慢できず、響の唇に自分の唇を重ねた。
泣きはらした目を瞑って、俺を受け入れる彼女の姿は、今の俺にとってとてつもなく魅力的で、今すぐにでも犯したい衝動にかられた。

「もっかいキスしたら出かける準備しよ」

ちゅーと言いながら自らキスをしてきた響はさっきまで泣いていたとは思えないほど明るい表情をしていた。
キスをしおえた響はぱっと立ち上がり振り返ると、俺の股間を軽く撫でて笑う。

「これは今晩にしようね」

緩めのスウェットだから気づかれないと思いきや、響はちゃんと気づいていた。
少し残念だと思いながらも、俺もデートの準備をはじめることにした。

結局、膝の上でお仕置きするという妥協をしてしまったのは、まだまだ俺の甘さだなと感じながらも、楽しそうにデートの準備をしている彼女のバタバタ動き回る姿を見ていると、まあいいかとも思えてきた。

今日はお尻を痛がる響を眺めながら、映画を見て、ご飯を食べて、オープンラストでお店で座りながらお酒を飲めるという楽しい一日がはじまる。
そのあとのお楽しみがあると思うとニヤニヤが止まらなくなるが、理想の俺ではないので無理やり表情を抑えることにする。
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