※フォロワーさんが目撃した、街角のとあるカップルのやりとりから妄想をこじらせた結果の小説です。
ゴールデンウィークは過ぎ、次の祝日はまだまだ先の梅雨前。日本人なら誰しも一番つらい5月病にも襲われているような、5月の最終週。
夏の日差しがたまに覗く昼間は、乾いた風が心地よい本日は日曜、絶好のお出かけ日和だ。
待ちゆく人々は夏の準備か、アパレル系のショップ袋を下げている人が多い。街はいつの間にか春から夏に、インテリアからファッション、人々までもが季節を変えていた。
そんな景色なんて、私の目には入らない。
「もぉやだぁ!」
普段の三倍は大きな声をあげ、私は拒絶していた。
私の右の手首は彼氏であるミズキくんの大きい手でぐいっとつかまれ、街のはずれのほうへいやいや引っ張られているのだ。
こんな街の真ん中で大きい声出して、迷惑だって思わせたい。
やだもん、だって。
「ダメ」
そんな私の企みは、彼が簡単に一蹴してしまう。
いつもそうだ。
でも、今日は本当にいやなの。
行きたくないし、手だって痛いし。
「もぉお!離して!」
「離さない」
ミズキくんの手を離させようと、掴まれていない左手でバシバシと彼の左腕を叩くが、彼の引っ張る強さと歩く早さについていかなければ、思いっきり転んでしまいそうで無理やりついていくしかった。
「いやだぁ!!」
「いやだってば!!!行きたくないの!」
自分の意思で止まることのできないこの流れを変える方法はひとつしかないと思い、出来る限り彼氏にいやだとアピールをした。
私のアピールが届いたようで、ぴたっと彼氏の足が止まった。
「ソラ、静かにしなさい、我儘がすぎる!」
許してもらえると思って顔が緩んだ私に、振り返り言ったミズキくんの顔つきは厳しいものだった。
「やだやだやだ!」
静かにしなさい?
我儘?
勝手に進めてるのはミズキくんのほうでしょ!
「行きたくないって言ってるじゃん!!」
抵抗する声は一層大きくなるばかりだ
「ねぇ!!!聞こえてるんでしょ?」
絶対に聞こえているはずなのに、ミズキくんの足が止まる予兆はまったく見えない。
「大きな声出さないの、みんな見てるのに恥ずかしいよ?」
さっと振り向いて私に話しかけた彼氏の顔は、今まで外で見たことのない冷たい表情だった。
ミズキくんのそんな表情を外で見てしまったら、そんなに大きな声を上げて抵抗しても仕方ないんじゃないかと思えてきた。
私がそんなに嫌がってるのには理由がある。
今から連れて行かれる場所は、いわゆるラブホテル。
なんだ、エッチなことを期待すればいいだけで、彼氏は優しくしてくれるよ。怖くなんてないよなんて、考えは本当に的はずれ!
私は彼氏のミズキくんから、我儘を言ったり約束をやぶったりするとお仕置きをされる。
お尻を叩かれるお仕置きだ。
お仕置きされるのがいやだと友達に相談したこともあったけど
「お仕置きって言うからつらいものなのかと思ったけど、ただのお尻ぺんぺんじゃん。少し我慢すればいいだけでしょ。お子ちゃまなソラにはピッタリのお仕置きじゃん」
と親友は笑う。私としてはかなり恥ずかしい相談だったのに結局、なんのアドバイスも得られなかった。
ミズキくんのお仕置きは、お尻ぺんぺんという表現ではすまないかなり厳しいもので、今日このまま連れて行かれるホテルでは、私が泣いて謝るまで絶対に許してはもらえない。
そんなつらいお仕置きが待っているのがわかっているので、少しでもそんな負担を減らそうと反抗したのが、火に油を注ぐ結果となってしまったみたいだ。
大きいベッドが真ん中に存在感を出しているホテルの一室。その大きいベッドの端だけしか使っていない私達は、ホテルの客としては上客なのではないかと思ってしまう。
「どうしてお仕置きされたの?」
「……」
「ソラ、ちゃんと答えなさい」
彼氏のミズキくんの膝の上に腹ばいになった状態で、スカートをめくられ下着は膝までずり下げられ、すでに真っ赤に腫れ上がったお尻をぽんぽんと軽く叩かれた。
「我儘……言った」
ホテルについた途端、うちの厳しいミズキくんは、自分で下着をさげて膝に乗りなさいと指示した。ホテルに連れて行かれる事自体を抵抗していた私にそんなことをできるわけもなく……。結局、ミズキくんに無理やり膝の上に乗せられ、ぐいっと一気に下着をおろされ、はじめから強いの平手でお尻を叩かれはじめたのだ。
そんなスタートからはじまったお仕置きは、いつものお仕置きよりも厳しく、数は数えていないけれど軽く10分以上はバシバシと強めの平手で叩かれ続けていたと思う。
「そう。我儘言ったらお仕置きだから、これからも」
……えぇぇぇぇぇぇ。
そう言えるのは心の中だけ。
怖くて厳しい彼氏には「はい、ごめんなさい」と言うしかなかった。
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