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ふたりのルール

私と彼は高校の頃からの同級生。
付き合ってもう3年になるけど、お互い実家暮らしでまだ学生ということもあって、毎回のデート代はふたりで割り勘にしている。
予算は毎月1万円。
一緒にご飯を食べたり、お出かけしたり、もちろんエッチなことだってしたい。
ふたりで2万もあれば、それなりにお付き合いを楽しむことができるんじゃないかと、ふたりで決めた約束だった。
もちろん学業優先なので、収入が少ないときは要相談。
お互いにカバーしあって仲良くしていこう。
我ながら、この関係はいいアイディアだと思う。
彼も同じ意見だった。

相談。

しようと思っていた。

そう思った日から、知らない間に時間は過ぎ、今日は嬉しいはずの給料日。
私は給与明細を見つめ、なにか浮かんでこないかと頭を全力で回してみるも、何日も前からわかっていた結果が覆るわけもなく、ましてや新たな案なども浮かぶわけもなく、ただ変化することのない数字を眺めているだけだった。

原因は彼に内緒で友達と行ったオール。

まあ、まだ成人になったばっかりだけど、お酒って楽しいじゃん。
遊びたいじゃん。
と思っても、彼が一緒のときじゃないと飲み会に参加するのは許可がおりない。
理由は……自分でも、ちょっと反省するところがあるので反論はしないけど、バレなきゃ平気と気が大きくなったのが悪かった。

その日はそもそもオールの予定じゃなかったのに、お酒の勢いもあってオールで遊んでしまいデート代で残すはずだったお金を使ってしまったのだ。
そんなことを後悔してもあとの祭り。
バイトの時間を無理に増やしても不審がられるし、結局何も言い出せずに、いつも通りの生活をしていた。


私の心はモヤがかかっているというのに、現実は残酷なまでに明るく暖かい日差しを与えてくる。
初夏とまではいかない春の心地いい日差しの中、いつもの公園で大好きな彼とふたり並んでベンチに腰掛けている。

「……あったかくて気持ちいいね」
「そうだね」
「……はあ」

いつもはおしゃべりな私なのに、どうしても言い出せず言葉に詰まっていた。
自分がうつむいているので、彼が今どんな表情をしているのか見ることができない。余計に話すタイミングを失ってしまい、ふたりの間には重い沈黙が落ちていた。

「なに、どうしたの?そんな暗い顔して」

沈黙をやぶったのは、優しい彼の声だった。

「やなことでもあった?」

こんな後ろめたい気分のときに、彼の優しい声で心配されていると思うと、罪悪感で心が苦しくその場にいることすら耐えきれなくなり、私は思わず隣に座る彼に抱きつき、力の限り抱きしめた。

「……ごめん」

彼は私の言葉に何も返さず黙ったまま、左手を私の背中に回しきつく抱き返し、右手はゆっくりと私の髪を撫でる。

「約束やぶったの……ごめん」

彼は何も言わず、私の頭を撫でるだけ。
その優しい手は、ふたりの約束をやぶってしまった自分の愚かな行動を一気に吐かせるだけの、大きな存在感があった。

「反省してるの。ごめんね」
「そっか」
「本当にごめん」
「知ってた」
「えっ?」
「ちょっと小耳に挟んでたんだけど、いつ言うのかなぁって思って待ってたんだよ」
「えっ?はぁ?」

そう言った彼の顔は、怒っている表情ではなく比較的穏やかで、春の爽やかな風が似合う清々しさが見えた。

「悪い子はお仕置きしないと」

はははと高笑いしてベンチを立ち上がった彼は、あっけに取られている私の腕をぐいっと掴んで立ち上がらせると、彼に連れて行かれる形で公園を出ることになった。


そう。私が一番望んでいない展開。
これがあるから言い出せなかった。
私が悪さをしたらお仕置き。そんなルールがいつのまにかふたりの中でうまれていた。

連れてこられたのは、いつものホテル。
お互い実家だし、色々調べて一番使い勝手のいいホテルを見つけたのが2年前かな。
それからはエッチのときも、お仕置きのときもこのホテル。
いい思い出も、いやな思い出も同じ場所って、なんだか気持ちがはっきりしない。嬉しいんだか悲しいんだかわからない。
そんなことを考えているうちに、あっという間に部屋で彼とふたりきりになっていた。

このお仕置き前のムード、何度経験しても慣れない。重くてしんどい。
このムードをぶち壊そうと色々と試してみたこともあったが、彼の考えや気持ちは何も変わらず、余計に叱られるだけで努力は徒労に終わったことばかりだった。
覚悟を決めるしかない。

「正座して」

彼はふかふかの広いベッドの端に軽く腰掛けた。正座と言われたら、私は彼の正面に正座をするのがルール。
いつもの通りに彼の目の前に正座をしたが、白くて冷たい床が残酷にも私の足をいじめてくる。

「さっき反省してるって言ってたし、ちゃんと自分からお願いできるよね?」
「……反省してるよ」
「じゃあ言って」
「でもさぁ」
「でも、なに?」
「反省してるし、お仕置きなしでいいじゃん」
「ってキミが泣いてごねるから前回、お仕置きなしにしたけど」
「……」
「次、約束やぶったら、厳しくお尻叩くって約束したでしょ」
「……うん」

確かにそんなこともあった。
私は色々と詰めが甘い。

「観念しなよ」

彼の冷たい一言は心に沁みる。
ただ従うしかないのだ。

「……はぁい」
「早く」

普段は温厚で優しい彼だが、お仕置きのときのスイッチが入るととても厳しく、わがままひとつ許してはくれない。
自分からお仕置きのお願いをするのがルール。

「約束やぶった私の……お尻を叩いて……お仕置きしてください」

これを言うまで正座が終わらない。
でも、こんなこと彼女にわざわざ言わせるっておかしくない?
お仕置きなんてされたいわけないじゃん。なんで私がお願いしなきゃいけないの。
って思っていると、心を見透かされているようで、何度も言い直させられたり、目を見なさいと注意されることも多いので、結局心からお仕置きをお願いしないと始めてはくれないのだ。

「おいで」

そう呼ばれると、ベッドに腰掛ける彼の膝の上に腹ばいにならないといけない。
この年になって子どもみたいなお仕置きを彼氏からされるのは、本当に恥ずかしい。
春らしい薄い水色の柔らかい生地のスカートは、私の女性らしさを引き立たせている。その上から落ちてきた彼の手で、恥ずかしくて痛いお仕置きが始まることをお尻から感じ取る。
ゆっくりと大きく振りかぶった手は、大きな音を部屋中に響かせた。
バシ、バシ、バシとスカートの上から叩かれる手は、耐えられる痛みなので頭が回る分、羞恥心でいっぱいになる。
スカートの上から20回ほど叩かれると、彼の手が止まった。
ここからも、いつものルール。

「自分で下着おろしなさい」

これもすごく恥ずかしくてつらい。
そう思って動けないでいると「グズグズしない」と叱られるので、しぶしぶ下着をおろす。
いくら付き合って3年も経つとはいえ、お尻を叩かれるために脱ぐのは恥ずかしくて、お尻と太ももの間くらいしか下げないのだが、結局彼の手により膝あたりまでぐいっと下げられてしまう。

「反省してるなら、ちゃんとお尻を出す」

バッシーンときつい1打が、私の丸出しのお尻に落ちてきた。
やっぱりすごく痛い。
バシン、バシンとスカートの上から叩かれているさっきの音とは変わり、皮膚同士がぶつかる大きな打擲音が部屋中に響き渡り、痛みもさっきとは比較にならないほど強くなっていた。
バシン、バシン、バシン、一定のペースを保ち、深呼吸のようなゆっりとした速度で、彼の手は容赦なく私のお尻を叩く。
丸出しのお尻にされてから、40回をこえたところだろうか、はじめは我慢できていた痛みも積み重なれば痛みも増し、自分の意思とはうらはらに身体が余計な反応を示す。

「足!」

痛みに耐えきれず足を動かすと、お尻と太ももの境の一番痛みを感じるところを狙って、きつい平手が落ちてくる。

「あぁ!痛いっ」
「そりゃ痛くしてるからね」
「……反省してるよぉ」
「反省!してるなら!大人しく!」

余計なことを言わないほうがいい。
それは今までの経験でわかっているのだが、こんな厳しいお尻叩きを大人しく受けろというのが難しいと思う。
少しずつお尻が腫れてきているのだろう、熱くて痛くて我慢できなくなってきた。
バシン、バシン、バシン、そんな私のお尻をまだまだ許してくれるわけもなく、彼の平手は真っ赤に腫れてきているであろうお尻をより赤く腫らしていく。
100回過ぎたあたりだろうか、平手のペースもあがり、私はお尻の痛みで頭が真っ白になっていた。

「なんでお仕置きされてるの?」

お尻の痛みで頭が真っ白になっているときに、こんな質問をしてくる。
しかも平手は同じペースで私のお尻を容赦なく叩いている。

「や、約束、やぶったぁ」
「しかも隠したでしょ」

その言葉が出ると、平手の勢いが一気に強くなる。
私はその痛みに耐えきれず足をバタバタと動かしてしまう。

「反省してるの?」
「してるぅ!!」
「じゃあこの足は何?」
「だって……痛いんだもん」
「お仕置きは痛いものだろ」

彼の足の間に両足を挟まれ、膝の上でお尻だけが出て足をいくら動かそうとしても動けない状態になると、彼の平手はバシッバシッバシッバシッと信じられないほど強い連打になってしまった。

「痛いっ、いたぁ……ごめん…痛いよぉ」

あまりの痛みに涙がこぼれた。
そんな私のお尻は彼の厳しい平手により容赦なく叩かれ、お尻と呼ばれるところはすべて真っ赤に染まり、かなりの熱を持っていた。

「ごめんなさいぃ……もう約束、やぶったりしないからぁ」
「本当に?」
「本当!もう許してぇ……ごめんなさいぃ」
「わかった」

彼がそう言うと、平手が止まった。私は痛みと後悔で、ただ泣きじゃくるしかできなかった。
抑えつけていた私の両足を解放して彼は立ち上がると、私はそのまま地面にしゃがみこんでしまう。

「立って」

もう終わりだと思い、真っ赤に腫れたお尻を両手でさすっていた私に聞こえたのは、彼の冷たい一言だった。

「ベッドに手をついて」
「終わりじゃないの……?」
「最後の仕上げだから、我慢して」
「うぅ……」

赤く腫れてじんじんするお尻をさすりながら立ち上がり、ベッドに手をつく。
お尻を突き出すポーズはとても恥ずかしく、膝の上で叩かれるよりも痛みが増す。

「最後に10回叩くから、ちゃんと数えて」
「うん」

バシンと油断していたお尻に彼の手が打ち込まれる。

「返事は?」
「はい」
「よろしい」

同い年なのに、こういうときはいつも敬語じゃないと許してくれない。
この言葉のやり取りは、叱られているという現実と、彼と自分の距離をいやでも感じてしまう。
早く終わって欲しい。
私は黙って耐えるしかなかった。

「じゃあいくよ」

バッシン!
今までで一番大きな音が鳴る。

「ひっ!いちぃ」

容赦のない1打目は、左の尻たぶに強く響いた。

「にぃぃ」
「さんっ」
「っよんん」

丁寧に着実に、まるで彼の性格をお尻で知ることができるように、左右のお尻に同じ強さの痛みを受ける。

「いっ……ごぉ」
「ろっくぅ」
「ななっ」
「ひぃぃ……はちぃ」

真っ赤に腫れたお尻は、受けた痛みでかすかに震えをみせている。
痛くても反抗したくても、これ以上お仕置きが増える先しかみえないので、お尻をさするのも、足をばたつくのも、手でかばうのも我慢して、10回が終わるのを待った。

「ったぃきゅう」

私の息はすでに切れており、喉から絞るように声を出す。

「っじゅう!」

最後はいつも通り、全力でお尻のど真ん中を狙った平手が落ちてきた。
その1打が落ちてきたと同時に、私の両目から涙がこぼれ落ちる。

「おしまい」
「痛かった……」

終わりの言葉を聞いた私は、すぐに両手で真っ赤に腫れて熱を持つお尻をさすってしまう。

「ごめんなさいは?」
「ごめんなさい」

いつからこんなルールが厳しくなってしまったんだろう。
お仕置きのときは厳しいけど、彼の言い分は間違ってないし、普段は優しいから、これからもたまに叱られるお付き合いが続くと思う。
あー、明日の学校では、椅子に座って講義を受けられる気がしないから、サボりたいって言ったら、また膝に乗せられそうになったのは言うまでもない。
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