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彼と彼女のパラフィリア◆03「彼の気持ち」

女なんか掃いて捨てるほどいる。
と、俺は思っていたが、実はそうでもないらしい。
一般的や普通の恋愛、セックスをする相手には困ったことはないが、それは俺が求めるような相手ではなかった。

キョウコ、いや今は響と呼んでいる彼女に出会えたのは、俺にとって衝撃的だった。
ゆっくり俺のものとして躾けたい。
自分の中で湧き上がる支配欲が高まる異性に出会えたのは、初めてと言ってもいい。

響は俺の三歳年上と泣きながら告白してきたときの、彼女の表情は言葉には言い表せないほど魅力的だった。
そもそも男女関わらず、年上だろうが年下だろうが、自分の感覚に近い相手でないと、関わるのすら面倒に思える性格なので、多分周辺では変人の変態だと思われているに違いない。
女にありがちな理屈を聞き入れない奴や、立場をわきまえない人間は俺の前に現れないでほしいとまで思っている。
セックスのときも、もちろんそうだった。
スパンキングは今までセックスしたすべての女に試してみたが、快く受け入れて、俺の承認欲求を満たしてくれるまでの女には未だに出会えてなかった。
身近で探すより、俺と真逆の欲望に飢えている人間から探すほうが手っ取り早い。
俺の考えは間違っていなかったようである。


──


女性が好きそうなアンティーク感のある森の家をコンセプトにしたカフェに響を連れてきた。
泣きながら仕置きをたっぷり受けた彼女には、堅い木製のベンチに座って食べるランチはとてもつらそうだった。
奥の方には柔らかいソファの席もあるのは知っていたが、自分の心の奥底で湧き上がる加虐心を抑えられず、手前のこの席でいいと俺が勝手に選んだのだった。
もちろん理由らしい理由を言ったが、内心はお尻の痛みに耐えながら過ごす響を見ていたかった。

「甲斐(かい)くんは、一人暮らしなの?家事とか大変じゃない?」
「洗濯も掃除も業者に頼んでるから」
「セレブじゃん!すごいね」
「俺が自分でやるより早いし綺麗だからね」
「私も誰かに頼みたいよ…家事は苦手」

確かに家事は苦手そうだ。ピアノを弾くから料理はあまりしないとも聞いたことがある。
自分の食生活は外食ばかりだし、そういう生活を批難するつもりはまったくない。
そんな日常会話をしながら、響の様子を眺めているだけで、俺は充実した気持ちに満たされていた。
そんな楽しい時間を邪魔するような電話がかかってきてしまった。

「ちょっと電話してくる」
「うん、いってらっしゃい」

響はにこやかな笑顔しながら、座る位置をずらすためかもぞもぞとお尻を左右に動かしていたので、つい彼女耳元で囁いてしまった。

「お行儀悪い子はお仕置きだな」

その言葉を聞かされたあとの響の反応をじっくりと確認したかったが、電話に出るほうが優先だったので慌てて受話ボタンを押す。


──


急ぎで確認をしてほしいという仕事の電話だった。
一旦家に帰らなければできない作業だったので、遅めのランチは早々に切り上げて自宅に戻ることにした。
もちろん響も一緒に連れて帰ってきた。

「わあ。すっごい広いお部屋。グランドピアノ二台は置けるね」

余計なものはすぐに捨ててしまう性分なので、無駄に広い部屋に暮らしているように見えるらしい。
感嘆符だらけの響は放っておいて、俺はPCのモニターがいくつも並ぶ椅子に座って作業を始めた。
声を掛けて邪魔をするのも心苦しいのか黙ってはいるものの、響はソファーに座ったかと思うと、立ち上がり本棚から本を手に取ってみたり、窓から外を眺めたり、とりあえず落ち着きがなかった。

「大人しく座ってろよ。すぐ終わるって言ったろ」
「だって…そのソファー固いからお尻が痛くて」
「響が悪い子だったんだから仕方ないだろ」
「はいはい」
「すぐ構ってやるから」

予想通り確認作業はすぐ終わってしまった。
現在の時刻は午後五時。

「甲斐くんのにおいだぁ!すごい!」

ソファーが固いやら文句を言っては、視界の中をうろちょろされるのが鬱陶しくて、お尻がそんなに痛いのならベッドで寝っ転がっててもいいよ言うと、響は喜んでゴロゴロと寝転がって俺のベッドを満喫している。

「響って見た目は清楚なお嬢さんなのに、中身は本当に子どもみたいだな」
「えっ?それなりにお嬢さんですよ。わたくし!」
「お嬢さんが彼氏のベッドでゴロゴロ寝転がりながらにおい嗅ぎ回ったりしないって。むしろ犬かな」
「失礼しちゃうわ。一応確認をしていただけよ。女性は自分と異なる遠い遺伝子と交配することによって、免疫が強い遺伝子を残す本能が嗅覚で嗅ぎ分けられるようになってると実験でも立証されているんだから」

思わぬところで出てきた遺伝子の話。俺も何かで読んだ記憶がある。
まさか音大生のお嬢さんの口からそんな話題が出るとは思いもしなかった。
響は面白い人だな…と思いながら、ふふっと鼻で笑った。

「俺たち相性がいいって言いたいわけ?」
「…多分」
「確かに、悪い子の響を叱る俺。相性いいと思うわ」
「あ、いや、そうじゃなくってね」
「じゃあどういうことなのか教えてよ。響さんは俺より年上なんだから、そういうとこリードしてくれるよね?」

畳み掛けるように話を違う方向に進めていくと、響は困った顔をしてしまった。

「…甲斐くんって底意地が悪い」
「知ってたでしょ?」
「…そういうとこも嫌いじゃない」
「あー、素直になりなさいってさっきお仕置きされたばかりでその表現はいただけないな。違うでしょ。そういう俺のこと好きなんでしょ?」

少しふくれっ面をしている響と目を合わそうと、響の顎を手で軽く持って自分の方へ顔を無理やり向けさせた。

「……」

顔は俺の方を向けているのに、目だけ合わせないという響の小さな抵抗が俺の加虐心に火をつけた。

「素直じゃないってまたお仕置きされたいの?」
「…今、素直に言ったら許してくれる?」
「俺、底意地悪いから」
「甲斐くんは欲張りだね。そんなお尻叩かれてばっかりだと、私のお尻がいくつあっても足りないよ」

響はそう言うとケラケラと笑いだした。
初めてあったときは、表情に種類のない子だなと思っていたのだが、こんなにコロコロ表情が変わるのかと、今日一日で驚かされる。と同時にどんどん興味がうまれてくる。
つられて俺も笑ってしまった。

「響さん手強いです」
「へへっ」
「でも昨日、練習サボったことはダメだってお尻に言い聞かせないと」
「あと二時間後からバイトなの!お願い、絶対ごまかしたりしないから次のときにして…座り仕事だから、本当につらい」

お尻をおさえながら響は切ない顔で俺を見つめる。
またその表情も可愛かった。甘やかしたくはないけど、今回はかなり厳しく叩いたし、多分それなりに痣になってるだろうから、仕方ない。

「わかったよ。今回は特別な」
「ありがとう!私いい子でいるね」

にこっと笑うと響は、俺の膝を枕にしてお尻の重みを和らげていたので、痛くない程度に数回お尻を叩いてやった。

「…ぁう」
「バイト頑張れよ」


──


付き合い始めてから数日後、約束通り響のお仕置きをするために自分の部屋に呼び出した。

「おじゃましまーす」

部屋に入ってきた響きは感嘆の声をあげる。

「えっ?えっ!どうしたのこれ!」
「どうしたって、買った」

部屋の真ん中にグランドピアノを置いてみたのだ。
家具も少ない殺風景な部屋だったので、インテリアとして見た目がいいかと思い衝動買いしてしまった。
元々余計な物音が気になる性分だから、この部屋に住むときに防音対策は整えてたお陰で、ピアノも存分に弾ける環境にはぴったりだった。

「勝手に練習しにきてもいいし、サボりそうなら監視してやってもいいよ」
「練習しにきてもいいの!?嬉しい!」

響は舞い上がっているのか、あまり人の話を聞いていないようだ。
いわゆる一般家庭にあるアップライトピアノより、グランドピアノのほうが表現が豊かに演奏できると聞いたことがある。
普段からの練習もグランドピアノにするべきだと、音大出の知人に熱く語られてしまったのだ。選択肢はこれしかなかった。
喜んだ響は鍵盤蓋を開けようとしたので、その手を止めた。

「弾くのはお仕置き終わってからね。練習サボる子に弾かせるためにこのピアノを買ったわけじゃないから」
「はあ…」
「すぐ弾きたそうな顔してるし早く終わらせようか。その椅子に手をついてお尻突き出して」
「膝の上じゃないの…?」
「早く言う通りにして」

俺は突き放すように響に言うと、眉間に皺を寄せて一瞬俺のほうを見ると、大人しく椅子に手をついた。
スカートと下着を一気にさげると、その手で響の腰を抑えた。
俺は右手を大きく振り上げて、響のお尻にきつく打ち付ける。

「…痛いっ!」

足を跳ね上げてバタつかせようとしている響を叱るかのように、強めに叩いて全体をピンク色にしていく。

「痛いぃ!反省してるから、許して、ねぇっ」
「反省してるなら黙ってお尻叩かれるもんだろ。それとも全然反省してないってこと?」
「反省してるからぁ…この体勢いやだよぉ」

響がワガママを言いながら地団駄を踏み始めたので、上半身を起こして立ち上がらせると、俺がそのままその椅子で脚を組み座った。

「響が膝の上がいいってワガママ言うから、予定より厳しくするわ」

膝の上に響を腹ばいにして乗せると、組んだ脚のお陰で自然にお尻を突き出すような姿勢になり、響の足は床に着くか着かないかでぶらぶらした状態になった。
さっき叩いていた強さのままお仕置きを続けると、三発目から涙混じりの声が聞こえてきた。
泣いている響を叩きながら、この体勢にすると脂肪が下にさがるのでより痛くできると聞いたが、こんなにも効くものかと感心していた俺は鬼なのかもしれない。

「ごめんなさいっ。甲斐くん、ごめんなさい」

泣いて謝られても、黙ってお仕置きを続けていた。
響のお尻はもうかなり赤くなってきて、抵抗する気力もなくなっていたのか、動かずにお尻を叩かれることを受け入れていた。
ぐすぐすと泣いている声は聞こえているが、その響の声はとても可愛いものだった。

「あと十回で終わりにするね」
「…はい」

ラストを宣言した後の一打一打は、一番丁寧にゆっくりしっかりとお尻に叩き込むことにしている。
力みたくても、力の入らない体勢にしてるため、響へのダメージは大きいようで、叩くたびに小さな唸り声をあげていた。

「はい終わり」

俺が膝からおろすと、響はその場で崩れおちてぺたんと床に座り込んでしまう。

「痛かった!」
「お仕置きだからな」
「……」

軽く頬を膨らませて、つまらなさそうな顔をする響の頭を俺は優しく撫でた。

「コーヒーでも淹れてきてやるから、落ち着けって」
「ミルク多めで!」
「はいはい」

響のオーダーを聞きながら俺はキッチンへ入っていく。
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